あなたのまわりでも遺産相続でドロドロの争いをしている人のひとりやふたりはいるはずです。
しかし、親がなくなって相続が発生したはずなのに、なんのトラブルもない人もたくさんいます。
では「遺産相続で揉める人と揉めない人の差」はなんだと思いますか?
もちろん、それぞれのご家族にはそれぞれの事情や理由があります。
でも、それってよくよく考えると無駄で不毛な争いのことが多いのです。
だからこそ「遺産相続で揉める人と揉めない人の差」を知ることで納得できることはたくさんあるのです。
「遺産相続では負けるが勝ち」
これを肝に銘じてください。
遺産相続は負けるが勝ちが良い7つの理由
この記事を読んでいるあなたはきっと他の兄弟たちから提案された遺産分割案に不平不満を持っていたり納得できないと思っているかもしれません。
しかし、遺産相続は負けるが勝ちなことも知っておいてください。
- 【遺産相続は負けるが勝ちが良い理由】
- 相続争いの末路は悲惨だから
- 別居の子供に親の遺産は調べられないから
- 親の遺産はそれほど多くないから
- 調停や裁判で争う場合の弁護士報酬数はクソ高いから
- 相続で自分勝手な主張ばかりする相続人を相手にしても時間の無駄だから
- 相続は縁切りのよい機会|そんな遺産は手切れ金代わりにくれてやれだから
- 遺産相続で揉める話はどこにでもある話だから
①相続争いの末路は悲惨だから
相続争いの末路は悲しいものです。
だからこそ、妥協できるラインで矛を収めることをおすすめします。
相続争いで得たものはわずかだけ
遺産相続でさんざん大喧嘩をして得たものはどれくらいなのでしょうか?
多くの方がわずかな遺産で争うことをよく見ている私にはそれがとても悲しく感じます。
相続争いまでして得たものが、たかが数百万円程度…
これでは天国のお父さんお母さんも悲しむはずです。
遺産相続争いで親の法要も参加できない
親の遺産相続争いで、一周忌や三回忌などのの親の法要にも参加できなくなった子供たちもいました。
他の兄弟と会わないために、盆暮れの墓参りにはわざわざ日時をずらしているご家族もいました。
②別居の子供に親の遺産は調べられない
ひょっとしたら、あなたは「他の兄弟が親の遺産を隠しているかも?」と疑っているかもしれません。
特に、
・他の兄弟が長年親と同居していた
・他の兄弟の誰かが親のお金の管理をしていた
という場合は疑いを持ってしまっているかもしれません。
しかし、現実問題として「親の遺産を調べ上げるのは別居の子供には至難の業である」ことも知っておきましょう。
たとえば銀行にあった親の預金を残高や取引履歴を調べるには、親の預金の銀行とその支店まで知っていなければなりません。
分からない場合は、目星をつけてしらみつぶしに一件一件銀行の支店にアタックしていかなければならないのです。
また、銀行にその調査依頼をするのも戸籍謄本など色々な必要書類も揃えて申請しなければなりませんし、それには大変な時間も労力もかかります。
弁護士に職権で依頼もできますが、その費用はバカにはなりません。
③親の遺産が少ない相続ほどよく揉めるから
多くの場合、あなたが思っているほど親の遺産は多くはないことがほとんどです。
親の年金がいくらだったか把握していましたか?
親の生活費や介護に必要なお金はいくらだったかご存知でしたか?
意外とあなたが考えているよりも、親の遺産は少ないことが多いのです。
④調停や裁判で争う場合の弁護士報酬数はクソ高いから
遺産相続争いで調停や裁判で争う場合には弁護士に依頼しなければなりません。
その時に弁護市に支払う報酬はいくらだと思いますか?
成功報酬金は旧日弁連基準によれば経済的利益の16%程度となっています。
報酬金についても着手金同様、多くの弁護士が旧日弁連基準に従っていますが、着手金と同じく独自の報酬体系を定めている弁護士もいます。
もちろん、これ以外にも実費や着手金や法廷に出廷するたびに発生する数万円の日当もチャリンチャリンと追加されていきます。
なんだかんだいって、得た経済的利益の約2割程度は弁護士に支払う覚悟をしたほうがいいでしょう。
ですので弁護士への報酬を考えたら、それくらいの差だったら時間と労力を考えてさっさと諦めるというのも賢い選択だといえます。
弁護士は揉めれば揉めるほど、時間がかかればかかるほど儲かる商売になっています。
そのせいかズルズルと裁判を引き延ばして報酬を増やそうとする弁護士も多いので注意してください。
※というかそんな弁護士しか私は会ったことがありません。
⑤自分勝手な主張ばかりする相続人を相手にしても時間の無駄だから
遺産相続分割協議は、感情的にも経済的にも負担が大きいものです。
そこに自分勝手な主張ばかりする人が絡むと、さらに事態が複雑化し、解決が難しくなります。
自分勝手な主張ばかりする相続人に常識的な説明が通じない
自分勝手な主張ばかりする相続人は、論理的な思考が困難な場合があります。
そのため、こちらがどんなに丁寧に説明しても、理解してもらえません。
自分勝手な主張ばかりする相続人は感情的になりやすい
自分勝手な主張ばかりする相続人は、感情のコントロールが難しい人の場合も少なくありません。
そのため、些細なことで怒鳴ったり、暴力を振るったりする可能性もあります。
自分勝手な主張ばかりする相続人がいると時間がかかってしまう
自分勝手な主張ばかりする相続人の話し合いをしようとしても、話が脱線したり、話が長引いたりして、時間がかかってしまうだけです。
自分勝手な主張ばかりする相続人がいると精神的に疲弊する
自分勝手な主張ばかりする相続人と関わることは、精神的に大きな負担となります。
相手の発言や行動に振り回され、ストレスを感じてしまいます。
自分勝手な主張ばかりする相続人がいると金銭的な損失を被る
自分勝手な主張ばかりする相続人が、遺産を不当に要求したり、横領したりします。
多少の不利益は目をつぶって、早期に話を終わらせる方が得策なことが多いです。
自分勝手な主張ばかりする相続人との関わり方
このように自分勝手な主張ばかりする相続人がいつ場合は、相続の話も慎重に進めなければなりません。
- 相手を刺激しないように注意する
- 相手の言動に振り回されない
- 自分の心身の健康を第一に考える
相続で自分勝手な主張ばかりする人と関わることは、非常に困難なことです。
自分勝手な主張ばかりする人とは、
・精神疾患を抱えている人
・認知症の人、あるいは一時的に精神的に不安定になっている人
など、さまざまなケースもありますので慎重に見極めてください。
⑥相続争いで絶縁は避けられない!手切れ金代わりにそんな遺産はくれてやれ!
「兄さんがそんながめつい人だったとは思わなかった」
「姉さんが母さんたちの遺産を隠している」
そんな思いもあるでしょう・
でも、その遺産は数千万円ですか?数億円ですか?
相続争いをしている遺産の価値は数百区万円程度じゃないですか?
酢千万円。数億円の遺産なら、弁護士を雇って調停や裁判までやって徹底的に争うのもいいかもしれません。
でも、実際は遺産相続の不公平な金額の差はたかだか数百万円か1千万円足らずではないですか?
・遺産相続争いで兄弟関係の絶縁は避けられない
・なにより兄弟で争うのは天国の親が悲しむ
それらを考えれば、
「そんな遺産ならば手切れ金代わりにくれてやる」
という決断もありではではないでしょうか。
⑦遺産相続で揉める話はどこにでもある話だから
遺産相続で揉めた場合、多くの方がそのまま放置してしまいます。
しかし、それが後々に大きな問題となって帰ってくるのです。
たとえば、相続手続きを放置したことで調べ出したら相続人が100人以上というケースもあるのです。
遺産相続トラブルの体験談はなにも特別ではありません。
あなたのまわりでもこんな遺産相続トラブルはたくさん起こっています。
だからこそ、遺産相続の話はあなたの代でさっさと終わらせておきませんか?
じゃないとあなたの子供か孫かひ孫が大迷惑をしてしまうのです。
遺産を独り占めした人の末路のスピリチュアル「バチが当たる」
私もよく遺産相続争いの相談を受けるのですが、お話を聞くと以前の相続で揉めていたというケースが少なくありません。
そこでは
「よくもまあ、そんな理屈を主張してくるなぁ」
なんてめちゃくちゃな論理を押し付けてくる人もいます。
相続が起こる年齢とは、その相続人もそこそこ高齢です、
遺産相続で無茶苦茶な主張をしてくる人に限って寂しい老後をおくっていることも少なくないのです。
・配偶者を早くに亡くしている
・子供も寄り付かない
そんな方によく出くわします。
遺産相続争いにはそんな人がよくいることに、私はなにか「遺産を独り占めした人の末路にスピリチュアル」を感じてしまいます。
遺産を独り占めするとバチがあたる
遺産を独り占めしようとしたらバチがあたる。
そんな人も少なくありません。
本人は遺産を独り占めしようとは考えていなくても
「親の遺産のことを知ったら、いくらよこせと言ってくるかわからない」
遺産相続では多くの方がそんな疑心暗鬼に襲われます。
だからこそ、親の遺産を隠そうとします。
でも、意外なところからボロが出るものです。
他の兄弟たちは今までの経緯や事情を考えて、ある程度の協を考えていたのに、遺産を独り占めしようとしたことで問題が大きくなり、結局弁護士を入れての調停や裁判にまで発展してしまうこともあります。
最終的には法定相続割合での決着はよくあることなんです。
因果応報でバチがあたる相続トラブル
不思議なことに、相続トラブルで揉めるご家庭では、次の自分の相続でもよく揉めているような気がします。
そこにはなんとなく、因果応報というかバチがあたるようにも思います。
親が遺産を独り占めしようとしているのを子供たちはしっかりと見ています。
だからこそ、自分たちもそうするのが当たり前と考えているからかもしれません。
相続争いは兄弟の絶縁のきっかけ|スピリチュアルな因果応報
遺産相続で争うと、その後は間違いなく兄弟仲は絶縁になります。
遺産相続で争うならそれくらいの覚悟はしておいてください。
私はあまりスピリチュアルなことは信じません。
しかし、たくさんの相続で揉めている人たちを見てきたので納得できる部分はたくさんあります。
遺産相続は負けるが勝ちだが泣き寝入りする必要はない
このように、遺産相続では負けるが勝ちです。
しかし、私はなにも遺産相続で泣き寝入りすることをおすすめしているのではありません。
泣き寝入りではなく、ただ妥協できるラインがどこなのか?
それを探して欲しいのです。
そのためにはまず、実家の値段から調べてみませんか?
それだけでも、かなり大きな妥協点が見つかると思いますよ。
なぜなら、おそらく親の遺産のほとんどが実家の土地建物のことが多いからです。
意外とみなさん、実家の不動産を過大評価しています。
冷静に第三者的観点から見ると、そんな高い金額ではないものです。
そのギャップがわかれば、妥協点も見つかると思います。
遺産相続で揉める人と揉めない人の差(揉める家族の特徴)
遺産相続で揉める人ともめない人の差はなんでしょうか?
それは
・正しい相続の知識の欠如
・自分勝手な相続の法律の解釈
・長年、遺産相続のことから目を背けてきた
ことが原因だと思います。
そこにはこんな「遺産相続で揉める人と揉めない人の差」があります。
- 遺産相続人の中に「がめつい人」がいる?
- 遺産を過大評価する人がいる?
- 遺産は売って分けない?
- 自分のしたことは過大評価し他人のしたことは過小評価する人がいる?
- 誰かひとりでもその遺産相続に納得しない相続人がいる?
- 親や兄弟と相続の話をしてこなかった?
- 遺産が少ない相続ほど揉めやすい?
①遺産相続人の中に「強欲」「がめつい人」がいる?
遺産相続人の中に常識の通じない「がめつい人」がいると遺産相続は必ず揉めます。
たとえば民法では子供はみんな平等な相続族割合なのに
「おれは長男だから」
と主張してくる相続人も未だにいます。
亡くなった父親に離婚した前妻との子供がいても
「あいつらには関係ない話」
と話し合いの場にすら呼ばない相続人もいます。
しかし、それだと遺産相続の話は一切進まないのです。
遺産分割の話し合いは、遺言でもない限り相続人全員で話し合い、全員が納得合意しないと成立しないのです。
もし遺産相続の話し合いで「がめつい人」が出てくるとまとまる話もまとまりません。
②遺産を過大評価する人がいる?
遺産相続で揉める人と揉めない人の差で、一番大きいのは遺産の過大評価です。
特に実家など不動産が遺産に含まれる場合は要注意です。
もうずいぶん前の話になりますが、いまだにバブル時代の評価を引きずっている方が少なくありません。
「昔は坪ウン百絵円で不動産屋が買いに来た!」
「父さんたちはこの家をウン千万円で買った」
その記憶だけが頭に残っているのです。
今の市場価値(相場)は2000万円程度なのに、相続人の誰かの頭の中の評価は5000万円という数字が残っていることもあります。
こんなに各相続人の頭の中の数字に乖離があると、遺産分割協議ではまとまるものもまとまりません。
親と同居だった家族ほど相続で揉める
親と同居だった家族も遺産相続で揉める家族の特徴でもあります。
なぜなら、親が残した遺産の中で多くを割合を占めるのが実家など不動産だけのことが多いだからです。
遺産と呼べるのは実家の土地建物だけ。
しかし、そこには同居してきた兄弟が住んでいる。
そして、実家を売却してお金で遺産を分けたい他の兄弟たち。
そして、その実家は自分たちの家だという感覚の同居してきた子供
この考えのギャップが遺産相続でもめる原因あのです。
遺産を正しく評価できていないから遺産相続で揉める
遺産相続で揉める人の特徴に、「遺産を正しく評価できていない」ことがあります。
典型的な例が不動産です。
不動産の価値は、常に変化します。
バブルの時代に購入した数千万円(または数億円?)の土地建物が半値八掛けの二束三文委なっていることは珍しくありません。
私は、実家などの不動産は売却してお金で遺産分割することをおすすめしています。
なぜなら、実際に売却に出してみないと、本当の不動産の価値はわからないからです。
意外と価値のない不動産って多いので気を付けてください。
②遺産を売って分けないから揉める
遺産分割の方法で一番すっきるすのが「換価分割」です。
つまり遺産を売ってお金に換えて、それを分割するやり方です。
しかし、不動産であればそのままその実家に子供の誰かが住むこともあるでしょう。
宝石なら、形見分けで子供誰かが貰うこともあるでしょう。
しかし売らずに遺産分割することは、その遺産の本当に価値がわからないままなので揉める要因となるのです。
実家などの不動産を過小評価する相続人と過大評価する相続人
その実家などの不動産を相続したい人は、その不動産の価値をできるだけ過小評価したいことでしょう。
しかしそれを相続しない相続人からすればできるだけ過大評価したいことでしょう。
その実家の不動産の評価によって他の遺産の分け方にも大きく影響してきますからね。
しかし、素人にはなかなか不動産の価値はわかりません。
いくら近所で「坪当たりいくらで売れた」といっても、それはあくまで噂レベルです。
実際にチラシに掲載されていた価格で売れたとは限りません。
さらにマンションと違いと土地建物は、
・前面道路
・方位
・角地
・都市計画の用途地域
・建物の築年数
などなど様々な要因が複雑に絡み合って不動産の価格を形成しています。
それで、簡単に実家の不動産の価値がわかります。
おすすめは「イエウール」さんです。
簡単に実家の値段がわかります。
③自分のしたことは過大評価し他人のしたことは過小評価する人がいる?
人間の本性として
人は自分のしたことは過大評価して、他人のしたことは過小評価する
ことがあります。
これは、たくさんの遺産相続トラブルを見てきた私の格言です。
特に親の介護に関しては、このあたりが問題になるのです。
子供の誰かが親の介護をしてきた
最近、特に多い遺産相続で揉める家族の特徴に「介護の不公平」があります。
「親と同居して介護してきた長男家族」と「他の兄弟姉妹」
「親の近くに住んでいる娘家族」と「離れて暮らし息子家族」
親の介護の不公平は、どうしても避けられません。
しかし、この介護の不公平を遺産相続で清算できるとは限らないからです。
相続の法律を自分勝手に解釈している相続人がいませんか?
実は、多くの方が相続の法律を正しく理解していません。
というか、知ってはいてもそれを自分勝手な論理でねじ曲げて解釈しています。
これはテレビのワイドショーなどで上っ面の解説が多いせいかもしれません。
例えば、子供の法定相続割合はみんな同じということはもはや常識としてみなさんご存知でしょう。
長男であろうと、外に嫁いだ娘であっても、法定相続割合は同じです。
しかし、
・同居していた
・親の介護に尽くしてきた
・俺は長男だから
とか色々な理由や事情で他の兄弟と同じ法定相続割合では納得できない相続人が出てきたりします。
そこで、よく持ち出されるのは「特別寄与分」です。
民法第904条の2〔寄与分〕
①共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の
療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした
者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人
の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から
第902条までの規定によつて算定した相続分に寄与分を加えた額をもつてその者の相続
分とする。
②前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同
項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額
その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
③寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除し
た額を超えることができない。
④第2項の請求は、第907条第2項の規定による請求があつた場合又は第920条に規
定する場合にすることができる。
特別寄与料とは、被相続人(亡くなった方)に対して、介護などの労務を無償で提供していた親族が相続人に対して、その寄与の程度に応じて請求できる金額のことをいいます。 相続人やその他の親族が、被相続人の生前にその介護を行っていたり、事業を手伝ったりして、被相続人のために色々していることは少なくありません。
この特別寄与分は誰が決めると思いますか?
これは多く遺産を相続したい相続人の誰かがひとりで決められるものではありません。
特別寄与分は、
・相続人全員が話し合って決めるか?
・家庭裁判所に調停を申し立てて調停委員に判定してもらうか?
しかありません。
そしてこの「特別寄与分」とは普通の介護をしてきた程度では認められません。
特別寄与分の特別とは、「尋常ではないほど」という意味なんです。
「私だけが親の介護をしてきたんだから」という理由だけで認められるものではないのです。
また、家庭裁判所の調停委員に特別寄与分の寄与度を認めてもらうには客観的な証拠や資料が必要です。
ただ涙ながらに調停委員に訴えても意味はないのです。
どんな介護を?どんな風ににしてきたのか?
その証明は簡単ではありません。
また重度の寝たきりの親の介護を24時間365日献身的にしてきたのに、認められた特別寄与分の判例では介護ヘルパーを利用した場合との比較で一日わずか数千円という事例もありました。
以下に特別寄与分の判例も紹介しておきますので参考にしてみてください。
大阪家庭裁判所平成19年2月8日審判(出典:家庭裁判月報60巻9号110頁)
被相続人に対する身上監護を理由とする寄与分の申立てに対し、被相続人が認知症となり、常時の見守りが必要となった後の期間について,親族による介護であることを考慮し、1日あたり8000円程度と評価し、その3年分(1年を365日として)として,8000円×365日×3=876万円を寄与分として認めた。
大阪高等裁判所平成19年12月6日決定(出典:家庭裁判月報60巻9号89頁)
遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告審において,被相続人の死亡まで自宅で介護をした申立人の負担は軽視できず,申立人が支出した費用は,遺産の形成維持に相応の貢献をしたものと評価できるが,遺産建物の補修費関係の支出は,被相続人と同居していた申立人自身も相応の利益を受けており,申立人の寄与を支出額に即して評価するのは建物の評価額からすると必ずしも適切ではないこと,農業における寄与についても専業として貢献した場合と同視できる寄与とまでは評価できないことなどから、寄与分を遺産総額の30パーセントと定めた原審判を変更し,遺産総額の15パーセントと定めた。
大阪家庭裁判所平成19年2月26日審判(出典:家庭裁判月報59巻8号47頁)
被相続人に対する介護を理由とする寄与分の申立てに対し、申立人の介護の専従性を認めた上で、申立人が被相続人から金銭を受領しているものの他の相続人らも同様に金銭を受領していた事実があるから、その介護の無償性は否定されず、寄与分を評価する上で評価すべき事情としてその他の事情と併せ考慮し、申立人の寄与分を遺産総額の3.2%強である750万円と定めた。
2 被相続人が所有していた資産を運用し、株式や投資信託により遺産を増加させたことを理由とする寄与分の申立てに対し、株式、投資信託による資産運用は利益の可能性とともに常に損失のリスクを伴うことから、単に株価が偶然上昇した時期を捉えて被相続人の保有株式を売却した行為のみで特別の寄与と評価するには値しないとして、寄与分の申立てを却下した。
司法統計をみても
・特別寄与分を認めた審判例は1割以下
・5割以上の特別寄与分を認めたのは年間でわずか10件程度だけ
というデータもあります。
あまりにもこの「特別寄与分」での遺産相続争いが多いせいか、家庭裁判所もこんなアナウンスをしています。
寄与分の主張を検討する皆様へ
平成25年12月3日 東京家庭裁判所家事第5部寄与分とは共同相続人中に、身分関係や親族関係から通常期待される以上に被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者があるとき、その寄与者の相続分に寄与分額を加算するものです。
扶養義務の範囲内の貢献は寄与にあたりません。この特別の寄与を評価して算出した割合や金額のことを、寄与分と言います。
寄与分が認められるということは、法定相続分や指定相続分を修正することになりますので、修正に足りる事情を、自らが立証することが必要です。寄与分が認められるためには
①主張する寄与行為が相続開始前の行為であること
被相続人が亡くなった後の行為、例えば、遺産不動産の維持管理・違算管理・法要の実施などは、寄与分の対象になりません。②寄与分が認められるだけの要件を満たしていること
※要件とは、
「その寄与行為が被相続人にとって必要不可欠であったこと」、
「特別な貢献であること」
「被相続人から対価を得ていないこと」
「寄与行為が一定の期間あること」
「片手間ではなくかなりの負担を要していること」
「寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加に因果関係があること」
などで、その要件の一つでも欠けると認めることが難しくなります。③客観的な裏付け資料が提出されていること
寄与分の主張をするには、誰が見ても、もっともだと分かる資料を提出する必要があります。主張の裏付けとなる資料のないまま主張すると、解決を長引かせてしまうだけです。以上の点を踏まえて、寄与分のご主張を予定されている方は、次回調停までにご自分の主張内容をご検討下さい。すでに寄与分の主張をまとめて裁判所に書面を提出されている方は、もう一度自分の主張内容を読み返してみて、ご主張の内容に無理がないかどうかをご確認下さい。
④ひとりでもその遺産相続に納得しなければ揉める
遺産相続でもめるのが、遺産分割協議です。
遺産分割協議書とは、親が残してくれた遺産を相続人同士でどう分けるか?という話し合いの内容を記載する書類です。
この遺産分割協議書が無ければ、相続手続きはできません。
この遺産分割協議書は相続人全員が納得して署名捺印がないといけません。
つまり、誰かが反対して署名捺印しなければ有効にはならないのです。
⑤親や兄弟と相続の話をしてこなかった?
確かに親や兄弟に遺産相続のことを切り出すのはとても難しいことです。
下手をすれば
「おまえ、親の遺産をアテにしているのか?」
と誤解されかねません。
しかし、これが遺産相続で揉める大きな原因でもあります。
⑥少ない遺産相続ほど揉めやすい?
実は遺産が少ない相続ほどよく揉めるという事実があるのをご存知ですか?
遺産相続トラブルがいったい、どれくらいの遺産で揉めているのか?
1億?
10億?
いったい、どれくらいの家族や兄弟が相続でもめていると思いますか?
ここが一番皆さんに知っておいて欲しいところです。
そこで司法統計での遺産相続に関する家庭裁判所に持ち込まれた調停では以下のデータがあります。
実は、遺産相続でもめる金額のラインは5,000万円以下がなんと7割なんです。
5000万円なんて親の家が持ち家ならそれだけでほぼ達してしまう金額です。
それどころか1000万円以下の遺産で揉めている人が約3割もいるのです。
もちろんこれは家庭裁判所に調停の申し立てを行ったケースですので、実際には氷山の一角なのです。
しかしこのことから、もはや遺産が少ない相続ほど揉めるといっても過言ではありません。
では、なぜお金持ちの人ほど遺産相続で揉めないのでしょうか?
それは、お金持ちだからこそ相続税対策を行っているからです。
敵は他の相続人にあらず!敵は1円でも多く相続税を徴収しようする税務署なんです。
1円でも相続税を安くするためには、相続人たちが一致団結してあの手この手を探すのです。
「小規模宅地の特例」など遺産の分け方によっても相続税は大幅に変わることもあります。
また、相続税対策には遺産相続前に行わなければなりませんし、遺産の洗い出しや評価もしなければなりません。
それには税理士や弁護士などの専門家が助言もしてくれます。
そんな予め遺産相続について家族でしっかりと話し合いが行われているからこそ、お金持ちは遺産相続であまり揉めないものなのです。
実家の売却手順はとても重要です。 まぜなら実家の売却で困るのは ・兄弟間の意見調整 ・実家の売却のタイミングの難しさ ・実家の片付けが進まない ということなんです。 私は相続専門の不動産コンサルタントなのですが、実家の売 …